作家、五木寛之が「幸せとは何か」を語ったエッセーを読んだ。

ブータン王国での体験談、詩人、金子みすゞの自殺、「幸せの青い鳥」の原作のエンディング
昨年にかけて話題になったモノや文学作品を通じて現代の幸福について語っていく。

論理的に説得されるわけではない。ネガティブなことも書いてある。ところが、彼の語りにいつの間にか引き込まれて読んでいた。生きてる人間には「影」がある。幸せの裏には誰かの不幸がある、それを無視しないと幸せは感じられない。幸福の「光」の面だけではなく、「影」の部分からも語ることで一面的ではない幸福論になっている。

・人はすべて、なにがしかのうしろめたさを抱いて生きざるをえない。それが真実です。
 (P.45「幸福のむこうに見えるもの」)
・失いたくなければ、外界や他人とはなれて孤独に生きるしかない。[星の王子さま]は孤立した人間に世界を愛することを教えます。(P.101「目に見えない世界の真実」)

今、息苦しさを感じたり、疲れている人はぜひ読んでみて下さい。
解決したり癒やされたりするわけではない。けれど、今の自分の人生が愛おしくなる一冊です。

新・幸福論

新・幸福論